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幻想時代劇「さかやきかさらか」設定資料という名のネタバレ広場

【主人公春人と妹の理子について】
主人公――春人――は異界へ渡った時からカッパの姿をしています。ですので、現地人からすると当然カッパに見えるのですが、春人本人の視点だと人間のままとなってます。諸事情により、序章以降の本編で妹の姿は確認できませんでしたが(本当にごめんなさい)、彼女についてはこの世界においても人間の姿のままです。これは生前生の記憶の在り方にも関わってきます。カッパの姿でいる祖父と春人、人間の姿でいる妹との違いについては、まあ察して下さい。ちなみに、大戸兄妹の名前は、弊サイト名であるHURT RECORDをもじって付けました。haruto(春人)Riko(理子)Oodo(大戸)からの、ハルト・リコ・オオドを経て、ハートレコードって感じです。

【伽羅倶梨<からくり>】
こいつは便利ですね。隆盛する産業の広がりというものを書きたくて登場させました。もちろん典型的な時代劇の世界との違いを出したかったというのもあります。なんでもありな要素が強いですが、一応縛りのようなものもあって、人体――カッパ体――を作成することは禁止となっています。不文津の右腕は、人体の部位ということでアウト寄りなものです。作中でぶっ放す機会はありませんでしたが、右足も伽羅倶梨<からくり>製です。不文津がペンギン歩きになってしまうのは、両足の長さの調整不足によるものです。この世界の通常のカッパは、基本的にぬぬっとした動きをします。作中で紹介された雲海水耕栽培については、あの雲…食べられたら良いなあという、お爺ちゃんがかつて抱いていた童心が形になったものだと思ってください。

【幕府最大の統治機構――カッパ・フィールド――】
カッパが嘘を口にすると、呪いによって人間の姿に変わってしまうというものです(当代当主である五代目のみの仕様)。イリュージョンは一切関係ありません。ファンタジー世界でたまに見かけるトンデモ設定みたいなものですね。当代当主は特に悪意を持って発現させた訳ではないですが、一時混乱が収まらなかったこともあり、条件の設定については調整が続いています。なかなか自分の気持ちに素直になれない女頭領おあきさんは、この呪いの最初の犠牲者になった訳ですが、過去に自身の人生を大きく変えるような場面で嘘をついたことが、そのキッカケとなっています。不文津が口頭で偽名――魂の不文律――を伝えず、わざわざ木の棒で地面に書いていた理由もここにあります。

【人類憐れみ令】
カッパ・フィールドがもたらした混乱により、人間が大量に溢れ、その結果乱獲が始まりました。生前生の頃の記憶が今よりもはっきりしていた当主は、これを止めるためのお触れを出します。それが人類憐れみ令です。もともと同属種であった存在が、姿形を変えたからといって、食料として消費するのは如何なものかという話でもあります。天然(異界、外海から迷い込んだ人)と養殖(元カッパ)の違いがわかりにくいこともあって、禁猟指定種の取り扱いについて、量刑は重めとなっています。ちなみに皆さんは牛や豚になってしまった元人間を食べてしまいたいと思いますか? この世界のカッパはそういうものでも平気で食べてしまいます。カッパはみんな正直者で良い奴なんだぁ〜。

【臥ヱ胤の女頭領】
主人公にはおばさん呼ばわりされていましたが、まだまだうら若き人間の女性です。人間狩りを行う組織のトップが人間なのはどういうことだという話ですが、単純に天然の人間を捕獲することに長けているからです。例えば、カッパだらけの異界に飛ばされてしまったとして、現地で人間の姿をみかけた時、あなたならどうしますか? 仮にそれがうら若き女性でなかったとしてもほいほい付いて行ってしまうのではないでしょうか。絵やツボを買わされるくらいなら、半泣きになりながら自分のお尻を触ってた方がマシ派な人もいるかもしれませんが。

【佐左エ門時國】
佐左エ門家は、大井戸幕府の中でも有数の名家として知られ、初代当主が天下統一を成し遂げた時には、既に重臣として地位を確立していました。またその地位に相応しいだけの活躍もあり、統一以降も大井戸幕府の中枢を担う人材を数多く輩出していきます。そんな由緒ある佐左エ門家の中で、時國は生を受けます。次男という生まれですが、類まれなる剣の腕を買われ、幼少の頃から大井戸城を出入りするようになります。特に壮年期に差し掛かった先代当主にかわいがられていたこともあって、城内に知らない者はいません。当代当主とは折り合いが悪かったのか、要職から外され、登城する姿も見かけなくなった。というのが表向きの話です。